「亡くなった父が持っていた特許権、相続税はいくらになる?」
「出版した本の著作権(印税)も相続財産に含まれるの?」
土地や建物といった目に見える財産だけでなく、特許権や著作権などの「無形財産(知的財産権)」も、立派な相続財産であり、相続税の課税対象になります。
しかし、これらは形がないため、「いくらで評価するか」の計算が非常に複雑です。
この記事では、特許権、商標権、著作権などの無形財産の評価方法と、計算に必要な専門用語について分かりやすく解説します。
無形財産(知的財産権)の評価の基本
無形財産の評価は、基本的に「将来どれくらいの利益を生むか(収益性)」を基準に計算します。
主な権利の種類と評価方法は以下の通りです。
| 権利の種類 | 内容 | 評価の考え方 |
|---|---|---|
| 特許権 | 発明を独占する権利 | 将来の補償金(利益)の現在価値を計算 |
| 実用新案権 | 物品の形状等の考案 | |
| 意匠権・商標権 | デザインやロゴの権利 | |
| 著作権 | 作品(本、音楽等)の権利 | 年平均印税収入を基に計算 |
| ゴルフ会員権 | ゴルフ場の利用権 | 市場取引価格の70% |
1. 工業所有権(特許・実用新案・商標など)の評価
特許権などは、「将来受け取るであろう利益を、現在の価値に割り引いた金額」で評価します。
計算式
評価額 = 独自利用による利益(または補償金) × 複利年金現価率
- 独自利用による利益:その権利を持っていることで得られる年間利益(他人に使わせている場合はロイヤリティ収入)。
- 複利年金現価率:「将来の〇年分のお金」を「今のお金」に換算するための係数。国税庁が定める「基準年利率」と「残存期間」によって決まります。
【ポイント】
権利があっても利益を生んでいない場合や、評価額が50万円以下の場合は、評価額はゼロ(非課税)となります。
特許権
特許権とは、新しい技術を発明した時に与えられる権利で特許庁の審査を得た証です。特許権は被相続人の死亡によって直ちに相続されます。
特許の財産評価をするときは未来にもらえるお金を1年ごとに現在価値という形で計算します。意味は「未来に受け取れるお金を今受け取ったものとして調整した額」です。
特許権の評価額=20年分の現在価値(医薬の場合は最大25年分)
※ただし、評価額が50万円以下であれば評価しません。
現在価値=経常的な売り上げ×複利現価率
複利現価率は、以下の式で求めます。ただし、n:期間、r:基準年利率。
※基準年利率は、定期的に変動するため国税庁の以下のページを参照して下さい。
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/hyoka/230602/01.htm1年ごとの現在価値を20回足し合わせることになります。
特許権の評価額=1年目の現在価値+2年目の現在価値+…+20年目の現在価値
実用新案権
実用新案権は、物品の形状、構造または組み合わせに係る考案を保護するための権利です。物品の形状や構造、組み合わせについての知的財産権です。 特許と違い、技術そのものでなく形になったものが対象となります。
実用新案権は出願の日から10年間存続します。評価方法は、特許の評価方法と同じです。
商標権
商標権は、マークと、そのマークを使用する商品・サービスの組合せで一つの権利となっています。デザインやアートそのものを保護します。
意匠権は登録から20年間存続します。評価方法は、特許の評価方法と同じです。
意匠権
物、建築物、画像(以下、「物等」)のデザインに対して与えられる独占排他権です。自社や商品を示すロゴやネーミングなどを保護します。
商標権は登録から10年間存続し、10年単位での更新が可能です。評価方法は、特許の評価方法と同じです。
ソフトウェア
ソフトウェアについては基本的に著作権で守られていますが、アルゴリズムにおいてはソフトウェア特許によって守ることができます。ライセンス契約によってソフトウェアが収益を上げている場合は特許権と同じような評価が可能です。
よって、特許権の評価を用います。 広く販売しているソフトウェアについては収益の判断が難しく、著作権と同様に計算をします。
2. 著作権(出版権・著作隣接権)の評価
作家や音楽家が持つ著作権は、「印税収入」をベースに計算します。
著作権は死後70年続きますが、70年分すべての印税を足すわけではありません。「今後売れるであろう期間」を見積もって計算します。
計算式
評価額 = 年平均印税収入 × 0.5 × 複利年金現価率
- 年平均印税収入:相続開始前3年間の印税収入の平均額。
- 0.5:経費率のようなもの(概算)。
- 複利年金現価率:「今後も印税が入るであろう期間(精通者意見)」に応じた係数。
【ポイント】
「今後も印税が入る期間」は、出版社などの専門家の意見(精通者意見)を基に決定します。ここが評価額を左右する大きな要素です。
著作権(財産権)
著作権は、財産権としての性質を有するため、相続の対象となります。ただし、被相続人の一身に専属する著作者人格権は相続の対象となりません。
また、著作権の保護期間は、原則として、【著作者が著作物を創作した時点から発生し、著作者の死後70年で消滅】となります。※なお、無名・変名・団体名義の著作物(公表後70年)、映画(公表後70年)などの例外があります。
保護期間が満了した著作権は、著作権者の許諾なく利用できるようになります。 著作権は、相続したあとも永続するわけではないので、注意が必要です。
| 文芸 | 小説・脚本・論文・作文 |
| 音楽 | 楽曲・歌詞 |
| 舞踏 | バレエやダンスの振り付け |
| 絵画等 | 絵画・彫刻・漫画 |
| 建築 | 芸術的な建築 |
| 図形など | 設計図・模型 |
| 写真 | 写真 |
| 映画 | 映画・アニメ |
| プログラム | コンピュータプログラム |
著作権(財産権)は、特許権などと同じく相続したり譲渡したりできます。
不動産などと同じく評価額を算定し、他の相続財産と合わせてから税額を計算します。
著作権の評価額は次の算式によって、評価します。
著作権の財産評価額=年平均印税収入の額 × 0.5 × 評価倍率
- 年平均印税収入の額:相続発生の前年から3年間の印税収入の年平均額 年平均印税収入は課税時期の前年より前の三年間の印税収入を“年平均印税収入”として扱います。
個々の著作物に係る、つまり著作物ごとの著作権について評価を行うときは、その著作物に課税がかかる前年より前三年間の印税収入を“年平均印税収入”として式に代入します。 - 評価倍率:相続後の各年の印税収入の額が年平均印税収入の額と同じものとして、「印税収入期間」に応ずる「基準年利率」による「複利年金原価率」とします。
※複利年金原価率とは、一定のお金を定期的に積み立てて複利運用することが終了した場合の総額の、現在価値を求める率です。
※印税収入期間とは、著作物に関して精通している者の意見等を基として推算した期間です。 ※基準年利率とは、毎年国税庁から発表されるものです。
著作隣接権
著作隣接権とは、著作物の創作者ではないものの、著作物の伝達に重要な役割を果たしている実演家、レコード製作者、放送事業者及び有線放送事業者に認められた権利です。
例えば音楽プロダクションが持つCDをコピーする権利がこの権利に該当します。評価方法は著作権と同じです。
3. ゴルフ会員権の評価
ゴルフ会員権は市場で売買されるため、比較的計算はシンプルです。
計算式
評価額 = 課税時期の取引相場 × 70%
※取引相場がない(預託金制など)場合は、返還される預託金の額などで評価します。
複雑な評価は『簡単相続ナビ』で自動計算
「複利年金現価率ってどうやって調べるの?」「基準年利率って何?」
無形財産の評価は、専門的な係数を使うため、手計算では非常に困難です。
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- 【権利評価シミュレーション】
特許権や著作権の「年平均収入」や「残存期間」を入力すると、自動的に係数(複利年金現価率など)を取得し、評価額を算出します。 - 【財産目録の作成】
不動産や預金だけでなく、こうした無形財産も含めた完全な財産目録を作成できます。 - 【AI相談】
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まとめ:権利も立派な財産です
目に見えない「権利」は、相続財産として見落とされがちです。
しかし、申告漏れがあればペナルティ(追徴課税)の対象となります。
まずは『簡単相続ナビ』で、お手持ちの権利がどれくらいの価値になるのか、シミュレーションしてみませんか?
その特許、相続税はいくら?
権利の評価額と税額を診断。
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