「自社株の評価額が高すぎて、相続税が払えるか不安だ」
「うちは小さな会社だから、安く評価されるはずだ」
自社株(非上場株式)の相続税評価額は、会社の「規模」や「資産構成」によって計算方法が大きく変わります。
この判定を間違えると、株価が数倍も変わってしまい、想定外の相続税がかかることも珍しくありません。
この記事では、自社株評価の運命を決める「株主区分」「会社規模」「特定会社」の3つの判定基準について解説します。
自社株評価を決める3つのステップ
自社株の評価方式は、以下の3段階の判定を経て決定されます。
- 株主の判定:同族株主か、それ以外か?
- 会社規模の判定:大会社・中会社・小会社のどれか?
- 特定会社の判定:資産保有会社などの特別な会社か?
1. 株主の判定:支配権があるかどうか
まず、株式を取得する人が、会社に対して支配力を持っているかどうかを判定します。
| 株主の区分 | 評価方式 | 特徴 |
|---|---|---|
| 同族株主等 (経営一族など) | 原則的評価方式 | 会社全体の価値で評価する。 株価は高くなりやすい。 |
| 同族株主以外 (従業員株主など) | 特例的評価方式 (配当還元方式) | 配当金ベースで評価する。 株価は非常に安くなる。 |
同族株主等とは、以下の様な株主です。
- 株主が一人の場合
- 同族関係者の議決権総数が50%以上の場合
- 同族関係者の議決権総数が30%以上で、且つ、議決権総数が50%以上の同族関係者が居ない場合
- 同族関係者がいない場合は15%以上のグループが同族株主等に該当。
事業承継をする後継者は、当然「同族株主等」に該当するため、原則的評価方式(高い株価)で評価されることになります。
ここからの判定は、この「原則的評価方式」の中身を決めるためのものです。
2. 会社規模の判定:大・中・小のどれ?
会社規模によって、使える計算式(類似業種比準方式と純資産価額方式の割合)が変わります。
一般的に、大会社ほど「類似業種比準方式(株価が安くなりやすい)」を多く使えます。
判定の基準
「従業員数」「総資産価額」「取引金額(売上高)」の3要素で判定します。
- 従業員数70人以上:無条件で「大会社」
- 従業員数70人未満:「総資産」と「売上高」の組み合わせで判定
| 規模区分 | 評価方法の割合 |
|---|---|
| 大会社 | 類似業種比準方式 100% |
| 中会社 | 類似業種と純資産の併用(割合はLによって変動) |
| 小会社 | 純資産価額方式 100% (※併用方式も選択可だが50%まで) |
小会社は「純資産価額方式(解散価値)」の影響を強く受けるため、内部留保が厚い会社は株価が高騰しやすくなります。
①従業員数を加味した総資産基準
以下の総資産価額基準か従業員数基準のいずれかの区分
| 会社の規模 | 総資産価額(帳簿価額) | 従業員数 | ||
|---|---|---|---|---|
| 卸売業 | 小売・サービス業 | その他の事業 | ||
| 大会社 | 20億円以上 | 15億円以上 | 15億円以上 | 35人超 |
| 中会社(大) | 4億円以上 | 5億円以上 | 5億円以上 | |
| 中会社(中) | 2億円以上 | 2億5,000万円以上 | 2億5,000万円以上 | 20人超 |
| 中会社(小) | 7,000万円以上 | 4,000万円以上 | 5,000万円以上 | 5人超 |
| 小会社 | 7,000万円未満 | 4,000万円未満 | 5,000万円未満 | 5人以下 |
②取引高基準(売上高)
| 取引金額(売上高) | 会社規模区分 | ||
|---|---|---|---|
| 卸売業 | 小売・サービス業 | その他 | |
| 30億円以上 | 20億円以上 | 15億円以上 | 大会社 |
| 7億円~30億円 | 5億円~20億円 | 4億円~15億円 | 中会社の大 |
| 3.5億円~7億円 | 2.5億円~5億円 | 2億円~4億円 | 中会社の中 |
| 2億円~3.5億円 | 0.6億円~2.5億円 | 0.8億円~2億円 | 中会社の小 |
| 2億円未満 | 0.6億円未満 | 0.8億円未満 | 小会社 |
取引金額とは、損益計算書の売上高のことです。
評価タイミングの直前1年間における企業の主たる商品・サービスの提供の対価として獲得した売上の合計額がそのまま適用されます。
単純な売上高なので経費などは差し引く前の金額です。会社の規模の指標を得ることが目的なので、利益ではなく売上高を重視する形となっています。
会社規模の判定ステップ
まず、会社規模の判定は次のステップで行います。
ステップ①:総資産(帳簿価額)と従業員数を比較
ステップ①では、「総資産(帳簿価額)」による判定と「従業員数」による判定を比較し、会社規模が小さい方を選択します。
なお、従業員数が70名以上の場合は、それだけで「大会社」となりますので、ステップ②には進みませんのでご注意ください。
ステップ②:①の結果と取引金額で比較
ステップ②では、①の結果と「取引金額」による判定を比較し、会社規模が大きい方に最終決定します。
「取引金額」は売上高ととらえてください。
3. 特定会社の判定:資産管理会社などは要注意
通常の事業会社とは異なり、資産保有を目的とするような会社は「特定会社」に分類され、原則として「純資産価額方式(高い評価)」が強制適用されます。
代表的な特定会社の種類
- 株式等保有特定会社:
総資産のうち、株式などの割合が50%以上の会社。 - 土地保有特定会社:
総資産のうち、土地の割合が一定以上(大会社70%以上、中小会社90%以上)の会社。 - 比準要素数1の会社:
「配当・利益・純資産」の3要素のうち、2つ以上がゼロの会社(または直前期末で2つゼロ、直前々期末で2つ以上ゼロ)。
「節税のためにホールディングス化(持株会社化)した」
「本業が赤字で、土地の含み益だけで持っている」
こうした会社は特定会社に該当する可能性が高く、類似業種比準方式(安い評価)が使えなくなるリスクがあります。
なお、この他に自社株式評価が適用できない以下の様なケースがあります。
- 開業から3年に満たない会社
- 利益・配当・純資産が0の会社
- 株式が経営者・親族以外に分散する
- 資産の保有を目的にする会社
- 債務超過があるとみなされる会社
- 開業前または休業中の会社
開業から3年に満たない会社や「1株当たりの配当金額」、「1株当たりの利益金額」及び「1株当たりの純資産価額(簿価)」がいづれも0の会社は、類似業種比準の評価方法を採用できないため、純資産価額によって計算します。
開業前又は休業中である会社の株式の価額は、純資産価額によって計算します。
「同族株主等以外」の少数株主の場合には、特例的評価方式により評価できるとされた、配当還元方式により株式を評価します。
尚、自社株式評価は、一般的な事業を営んでいる企業を対象としているため、資産の保有目的の会社や債務超過があるとみなされる会社にも適用できません。
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まとめ:判定一つで税額が激変する
自社株評価は、どの区分に判定されるかで評価額が数倍、時には数十倍も変わります。
「小会社」や「特定会社」の判定を受けてしまうと、高い相続税を支払うことになりかねません。
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