「うっかり申告を忘れていた」「バレないと思って少し財産を隠した」 その油断が、取り返しのつかない事態を招くかもしれません。
相続税の申告漏れには、本来払うべき税金に加え、**「加算税」と「延滞税」**という重いペナルティ(追徴課税)が科されます。悪質な場合は、財産の半分近くを税金で持っていかれることも…。
本記事では、申告漏れに対するペナルティの種類と税率、そして「なぜ税務署にバレるのか」という税務調査の実態について解説します。リスクを正しく理解し、手遅れになる前に正しい対処を行いましょう。
1. 【一覧表】相続税のペナルティ(追徴課税)の種類
相続税のペナルティは、その「原因(うっかりか、故意か)」と「タイミング(自主的か、指摘後か)」によって税率が大きく変わります。
| ペナルティの種類 | 原因 | 税率(原則) |
| ①延滞税 | 納付期限(10ヶ月)を過ぎた | 年2.4% 〜 14.6% |
| ②過少申告加算税 | 申告額が少なかった(うっかり) | 追加税額の 10% 〜 15% |
| ③無申告加算税 | 申告自体をしなかった | 税額の 15% 〜 20% |
| ④重加算税 | 財産を隠蔽・仮装した(悪質) | 税額の 35% 〜 40% |
ポイント: 税務署から指摘される前に「自主的に」修正申告をすれば、ペナルティは大幅に軽減されます。
2. 「延滞税」:遅れれば遅れるほど増える利息
延滞税は、納付期限(相続開始から10ヶ月)を1日でも過ぎると発生する「利息」のようなものです。
- 納付期限から2ヶ月以内: 年利 2.4%(令和4年分以降の特例基準割合)
- 納付期限から2ヶ月以降: 年利 8.7%(同上)
※本来の税率は「年14.6%」ですが、現在は低金利のため特例税率が適用されています。それでも銀行の金利とは比べ物にならない高利率です。 例えば、本来の税額が1,000万円で1年間滞納すると、数十万円単位の無駄な税金を払うことになります。
3. 「加算税」:申告ミスに対する罰金
過少申告加算税(計算間違いなど)
期限内に申告したものの、財産の評価額を間違えたり、一部の財産を計上し忘れたりした場合にかかります。
- 税務調査の通知前(自主的): なし(※これが重要!)
- 税務調査の通知後: 追加税額の 5% ~ 10%
- 税務調査での指摘後: 追加税額の 10% ~ 15%
無申告加算税(申告忘れ)
期限までに申告書を提出しなかった場合にかかります。
- 自主的に申告: 5%
- 税務調査の通知後: 10% ~ 15%
- 税務調査での指摘後: 15% ~ 20%
4. 最も重い「重加算税」:隠ぺい・仮装への制裁
「タンス預金を隠した」「架空の借金を作った」など、意図的に税金を逃れようとした場合、最も重い重加算税が課されます。
- 申告あり(過少申告)からの隠ぺい: 追加税額の 35%
- 無申告からの隠ぺい: 税額の 40%
最悪のケース: 重加算税(40%)+ 延滞税(年8.7%)+ 本来の税金 これらが合わさると、相続した財産の半分以上が消えてしまうことも珍しくありません。
5. なぜ税務署にバレる?「KSKシステム」の監視網
「現金ならバレないだろう」「遠くの土地なら気づかれないだろう」 その考えは甘いと言わざるを得ません。国税庁は**「国税総合管理(KSK)システム」**という巨大なデータベースを持っています。
- 過去の所得税申告データ: 「この年収なら、これくらい貯金があるはず」と推測されます。
- 不動産登記情報: 全国どこに土地を持っていても把握されています。
- 金融機関への調査権限: 亡くなった方だけでなく、家族の口座のお金の動き(名義預金)まで徹底的に調べられます。
「お尋ね」が届いた時点で、税務署はすでにかなりの情報を掴んでいると考えた方が良いでしょう。
6. 相続税の「時効」に逃げ道はない
相続税の時効は原則5年(悪質な場合は7年)ですが、これを狙って逃げ切ることは事実上不可能です。
税務署は時効が成立する直前に、強力な調査権限を行使してきます。また、時効を待つ間も延滞税は膨らみ続け、発覚した際には重加算税もセットで請求されます。「逃げ得」は許されない仕組みになっています。
まとめ:正しい財産把握が最大の防御
相続税のペナルティを防ぐ唯一の方法は、**「期限内に、正しく、漏れなく申告すること」**です。
しかし、数多くの通帳や不動産を整理し、正確な評価額を算出するのは、専門家でも骨の折れる作業です。 「うっかり漏れ」を防ぐためには、初期段階での**「財産目録」の作成**が不可欠です。
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これらを自宅で簡単に行えます。 税務調査におびえる日々を送る前に、まずはご自身で正しい財産状況を把握してみませんか?


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