贈与税が非課税になる財産とは?生活費や香典など4選を解説

「家族にお金を渡したら、それも贈与税の対象になるの?」 「子供の生活費を援助したいけれど、税金が心配」

通常、人から人へと財産を渡した場合には「贈与」とみなされ、年間110万円を超えると贈与税がかかります。 しかし、財産の種類や渡す目的によっては、そもそも贈与税がかからない(非課税となる)財産が存在することをご存知でしょうか?

今回は、暦年贈与や教育資金の一括贈与といった「特例」を使わなくても、非課税として扱われる財産について解説します。

目次

贈与税が非課税になる主な4つの財産

贈与税申告が不要で、非課税となる主な財産は以下の4つです。これらは、一般的な「年間110万円の基礎控除」とは別枠で考えることができます。

  1. 扶養義務者からの生活費・教育費
  2. 社会通念上相当な祝儀・香典
  3. 障害のある方への特定贈与信託
  4. 心身障害者扶養共済制度の給付金

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1. 扶養義務者からの「通常の生活費・教育費」

これが最も身近で重要な非課税ルールです。 国税庁は、『夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの』については贈与税がかからないとしています。

「扶養義務者」とは?

配偶者、直系血族(親・祖父母・子・孫)、兄弟姉妹、および生計を一にしている3親等内の親族などが該当します。 たとえ別居していても、仕送りをしている親子間などであれば扶養義務者とみなされます。

非課税となる費用の例

  • 生活費: 食費、家賃、光熱費、衣類代、交通費
  • 医療費: 入院費、通院費、治療薬代
  • 教育費: 学費(入学金・授業料)、教材費、文具費
  • 介護費: 介護施設の入所費用、月額利用料

【注意】非課税にならないケース

ここで重要なのは**「通常必要と認められるもの」という点です。 「都度払い(必要な時に必要な分だけ渡す)」は非課税ですが、「数年分を一括で渡す」と贈与税の対象になります。**

また、生活費という名目で渡しても、それを使わずに預金したり、株や不動産の購入資金に充てたりした場合は贈与税がかかります。

2. 祝儀・香典・お見舞い金

個人から受ける金銭であっても、社交上の必要性があるもので「社会通念上相当と認められるもの」は非課税です。

  • 慶事: 入学祝い、結婚祝い、出産祝い
  • 弔事: 香典、花輪代
  • その他: お見舞い金、年末年始の贈答

「社会通念上相当」とは、常識の範囲内という意味です。例えば、結婚祝いとして数千万円を渡すようなケースは、非課税とは認められない可能性が高いので注意しましょう。

3. 障害のある方への贈与(特定贈与信託)

重度の障害がある方の生活安定を目的として、親族などが信託銀行にお金を預け(信託し)、そこから定期的に金銭を受け取る仕組みを「特定贈与信託」といいます。 この制度を利用すると、以下の金額まで贈与税が非課税となります。

特別障害者(重度):最大6,000万円まで非課税

以下のような方が該当します。

  • 身体障害者手帳 1級または2級の方
  • 精神障害者保健福祉手帳 1級の方
  • 重度の知的障害者と判定された方
  • 常に寝たきりで複雑な介護を要する方 など

特別障害者以外の特定障害者(中軽度):最大3,000万円まで非課税

以下のような方が該当します。

  • 中軽度の知的障害者の方
  • 精神障害者保健福祉手帳 2級または3級の方 など

※この制度を利用するには、信託銀行等の窓口で手続きが必要です。

4. 心身障害者扶養共済制度の給付金

地方公共団体が実施している「心身障害者扶養共済制度」をご存知でしょうか? これは、障害のある方を扶養している保護者が毎月掛金を納めることで、万が一保護者が亡くなったり重度障害になったりした際に、障害のある方へ「終身年金」が支給される制度です。

この制度に基づいて支給される給付金(1口あたり月額2万円など)には、贈与税(および相続税・所得税)はかかりません。


贈与税の心配の前に、「相続税」の確認はお済みですか?

今回ご紹介したように、生活費や教育費の都度払いは贈与税がかかりません。 しかし、相続対策として「生前贈与」を考えている方の多くが、「そもそも自分(親)が亡くなった時に、どれくらい相続税がかかるのか」を把握していないケースがよく見られます。

「贈与税はかからなかったけれど、手元に残した財産に対して高額な相続税がかかってしまった」 これでは、資産を遺すという意味では本末転倒になりかねません。

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贈与税の非課税枠を気にするのと同時に、将来の相続税がいくらになるのか、まずはご自身の目で確かめてみませんか? 現状を正しく把握することが、賢い節税対策の第一歩です。

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この記事を書いた人

ミラーマスター合同会社代表社員の鏡 孝正です。
私たちは、専門家任せになりがちな「相続」を、皆様がご自身の手でコントロールできるべきだと考えてます。
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